11.光ファイバーを用いた土構造物用変状検知センサシステム

 鉄道のような線状構造物において、災害等の危険予知を行うためには構造物全体にわたる変形を連続的に計測管理することが必要となります。また、計測対象が盛土や地盤などの土構造物となると耐久性・耐食性の高いセンサが要求されます。
 これまで開発されているセンサは土構造物の地表面部分を計測するもののみで、土中内に挿入可能なものはありません。そこで、土中のひずみを精度良く簡易にそして連続的に計測可能なひずみセンサおよび計測システムを開発しました。このシステムでは光ファイバーが変形した際に生じるブリルアン散乱光の変化からひずみ量を求めることができます。また、ブリルアン散乱光の戻りの時間からひずみの発生位置も特定することが可能です。光ファイバーは、高い信号伝送能力を有し長距離にわたり連続的にひずみ計測ができることから線・面的な情報が得られます。また、比較的経年変化も起こりにくいため、センサとして高い信頼性を有しています。
 開発した光ファイバーセンサは板状の基盤の中に楕円状に光ファイバーを貼り付けます(図1)。楕円状にかつ連続的に貼付けることにより、高い計測精度で線・面的にひずみを捕らえることが可能となります。基板にはFRPと可とう性のエポキシを用いているため、耐食性が高く、またロール状にできるため長尺のセンサの場合においても施工・運搬に優れています(図2)。これらの特徴を生かすと、盛土の計測管理のほか、掘削工事に伴う周辺地盤内の変状計測や地すべり箇所の計測管理に利用することができます。さらに、他の土木構造物に用いている光ファイバーセンサとの結合も容易であり、包括的に計測できる可能性があります。




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