4.水量指数による水セメント比推定法

 コンクリートの品質診断において、水セメント比(W/C)を把握することは重要です。しかし、W/C推定に汎用されている方法は操作が煩雑で、精度が良くないため、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の形状的特徴を用いたW/C推定法を提案しました。
 コンクリート中ではW/Cの大きさに比例して、薄くて大きなCa(OH)2結晶がたくさんできます。そこで、粉末X線回折を用いてCa(OH)2結晶の大きさを結晶面 (001)および結晶面 (101)の回折ピークの比(P1/P2:水量指数)から求め、W/Cを推定します(図1)。しかし、この水量指数は測定試料中に含まれる骨材量の違いにより値が変わるうえ、骨材種類の影響を受けるため、どのような試料でもW/Cを求められるよう検討しました。
 その結果、酸に溶けない骨材が使われている場合は試料を酸で溶解して残った量(骨材量)で水量指数を補正する方法を用いることにより、精度良くW/Cが求まることがわかりました。また、石灰石等の酸に溶ける骨材が使われている場合は、熱分析装置でCa(OH)2量を定量し、水量指数と組み合わせて検量線に当てはめることによりW/Cを求めることができました。このように、試料中の骨材量やCa(OH)2量と水量指数と組み合わせることにより、W/Cをこれまでより広範囲に精度良くかつ簡単に推定できます。




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