9.異常時車両運用計画自動作成アルゴリズム

 事故や災害等によって列車ダイヤに乱れが生じた時には、列車の運休や車両運用計画の変更が行なわれます。車両運用計画の変更は多数の列車と編成を対象とし、編成種別、滞泊箇所等さまざまな制約を考慮しなければならない大規模かつ複雑な問題です。また、切迫した状況の中で全面的に人手によって作成されているため、本来ならば不要な回送列車を深夜に運転せざるをえなくなる等、作成される運用計画の質が充分でない場合があります。本研究では、各種の制約を守った上で、各列車の運転に対する要望を考慮しつつ、運休列車と回送列車がなるべく少なくなるような効率的な車両運用計画を迅速に作成するアルゴリズムを開発しました。
 たとえば、車両基地の出入口のポイント故障等によって、編成が長時間、基地から出区できない状況となった場合には、出区不能列車とその折返し列車を運休するという単純な考え方によって運用計画を作成することもできます。しかしこの方法では、列車の連続運休が発生するため、旅客の利便性を損なうおそれがあります(図1)。これに対して本アルゴリズムでは列車の連続運休を回避するような指定をして計画を作成することが可能です(図2)。列車種別と編成種別の整合性や滞泊地の一致等を考慮した上で、端末駅において大幅な運用変更を実施しています。本アルゴリズムは、きわめて高速に動作するため(図2の場合で数秒)、状況の変化に応じて、復旧時刻等の条件を変える等のケースに対応する車両運用計画を瞬時に作成することが可能です。




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