7.線路上空利用建築物における耐火設計手法


図1 大型売店を想定した実大燃焼実験
 線路上空利用建築物の線路階(軌道やプラットホームを設置している階)は、一般建築物に比べて可燃物量が少なく空間閉塞条件も異なります。線路階に対する合理的な耐火設計を行うことを目的として、鉄道総研が主体となって平成4年に「線路上空利用建築物耐火設計指針」を制定し、駅ビル等における無耐火被覆鉄骨構造が可能となりました。しかし、駅施設の多様化に伴い可燃物量が増加しているとともに、建築基準法が平成12年に改正されたため、それらに対応した耐火設計手法が必要となりました。
 線路階の主な火源としては、ホーム上の小型売店を対象にしていましたが、現行指針の制定当時には想定していなかった大型売店が設置されていることを勘案し、これに対応する検討方法を指針に追加しました。大型売店の火災性状を把握するため実大燃焼実験(図1)を実施し、開口部の形状で発熱速度が決定される換気支配型火災モデルを作成しました(図2)。本モデルを用いて部材温度を予測し(図3)、架構の弾塑性解析を行うことにより、現状設備に対応した建築物の耐火安全性を評価することが可能になりました。



図2 火災モデルによる発熱速度の検証

図3 鉄骨柱の温度予測例



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