9.濡れ雪の舞い上がりを抑制する台車周辺の車体形状

 列車の高速走行により舞い上がった雪は、車両に付着・成長し、落下することによりバラスト飛散の原因となります。この対策のため、速度規制などが行われており、降積雪時の列車遅延の主な原因となっています。降積雪時の規制速度向上に資するため、平滑化による着雪対策が難しい台車周辺部に着目し、台車周辺の車体形状の相違が濡れ雪の舞い上がりに及ぼす影響を模型実験によって評価しました。
 濡れ雪の舞い上がりを抑制するためには、列車通過時の急速な気圧降下によって濡れ雪内部に生じる圧力勾配を低減させる必要があります。そこで、低温実験室内に設置された高速回転円盤装置(図1)を用いて、複数の種類からなる新幹線台車周辺の車体形状の試験体(縮尺1/5、図2)を50〜175km/hの速度で濡れ雪上を通過させ、濡れ雪内部に生ずる圧力勾配を測定しました。
 その結果、現行の新幹線を模擬した試験体@に比べて,側スカート付きの試験体Aおよび端部ふさぎ板角度30°の試験体Bでは、最大圧力勾配の低減が認められました(図2)。特に試験体Bでは、低速領域からこの低減効果が顕著であり、濡れ雪の舞い上がりを抑制できる可能性があることが分かりました。



図1 実験に用いた高速回転円盤装置


図2 濡れ雪内部の最大圧力勾配



HOME
RTRI ホームページ

Copyright(c) 2004 Railway Technical Research Institute,Tokyo Japan, All rights reserved.