3.ポリマーセメント系材料によるコンクリートの効果的な補修方法

 構造物の延命のため、劣化部を除去して埋め戻す工法が用いられます。この埋戻し材が剥離するケースが多く見うけられたため、汎用されるポリマーセメント系材料の接着性状と中性化による劣化性状を検討しました。
 施工事例調査から、所定の接着強度(目安:1.0N/mm2)が得られない場合の多くは、接着界面および埋戻し材中の空隙と母材コンクリートによる埋戻し直後の水分の吸収に起因する低強度の硬化物の生成が原因であることがわかりました。
 接着界面の空隙量の低減および鋼材背面への的確な充てんには、吹付け可能な範囲で吐出圧を高くする吹付け施工が有効であることがわかりました(図1)。また、目安値以上の接着強度を得るためには、従来の水散布よりも樹脂含有乳剤散布による下地処理と保水率の高い(およそ0.5以上)埋戻し材が効果的であることがわかりました(図2)。
 ポリマーセメント系の埋戻し材の中性化による劣化の進行には、普通セメント系より空気量が高い傾向にあるために水セメント比のみならず空気量も考慮する必要があることがわかりました。水セメント比、空気量、時間を因子とした次の中性化深さ予測式を提案しました。これにより中性化の進行予測が可能になりました。


図1 鋼材背面への充てん状況

図2 接着強度に与える保水率と下地処理方法の影響




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