7.利用者の迷惑を少なくする運転整理案の作成

 事故や災害等によって列車ダイヤに乱れが生じた時には、列車の運休や車両運用計画の変更、列車の順序・着発線の変更を行なって、ダイヤの乱れを回復させる運転整理が、指令員の判断により行なわれます。
 運転整理を支援するコンピュータシステムも実用的に使われるようになってきていますが、それらは、順序変更程度の自動作成機能を持つのみで、使用者である指令員の負担は、ほとんど軽減されていないのが実情です。
 本研究では、順序変更だけでなく、運休、車両運用変更、着発線変更等を自動的に行なう機能を有する運転整理案作成アルゴリズムの開発を行ないました。本アルゴリズムでは、列車の遅延・機外停止の件数、運転頻度・接続の減少等から算出した利用者への迷惑指数を運転整理案の評価尺度とし、これを最小にする運転整理案を迅速に生成します。
 本アルゴリズムの実行結果を図1、図2に示します。図1は、始発駅で車両故障によって列車の発車が約20分遅延したと想定し、運転整理を行なわなかった場合のダイヤです。図2は、図1に対して、本アルゴリズムを用いて迷惑指数を最小にした運転整理を行なった結果です。パソコンによる運転整理案の作成時間は、約1分でした。
 今後、乗務員運用の変更計画作成機能を追加するとともに、様々な線区に対するシミュレーションを行なって、システムの実用化を図ります。


図1 運転整理なし
(迷惑指数=799)

図2 本アルゴリズムによる運転整理
(30件のダイヤ変更を実施。迷惑指数=153)




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