3.列車動揺予測モデルによる軌道変位評価手法

 軌道変位管理においては、軌道検測車による測定波形の振幅を指標として軌道変位を評価し、保守量を決めています。しかし、在来線の速度向上および乗り心地向上のためには、より列車動揺と相関が高い指標を用いて軌道変位を評価し、保守量を定めることが効率的です。そこで、軌道変位測定波形から簡易な演算で上下・左右の列車動揺を予測するモデルを作成し、軌道変位評価へ適用しました。
 JR在来線のある保線区管内(軌道延長120km)について、従来の軌道変位評価指標である10m弦正矢高低変位波形および本モデルによる上下動揺予測波形の100m区間毎の最大値を横軸に、上下動揺実測波形の100m区間毎の最大値を縦軸に記したものを図1(a)および(b)に示します。図1(b)の動揺予測波形の100m区間最大値は実測値との相関が高く、「列車が揺れる区間」を的確にとらえています。このため、列車動揺整備基準値超過と判定される区間数も少なくなり、保守量の削減が可能となります。
 このように、本予測モデルを用いれば、現在の10m、20m弦正矢値よりも列車動揺と相関の高い軌道状態の評価が可能となり、より経済的な軌道保守が行われるものと考えています。

(a) 10m弦正矢高低変位(b) 上下動揺予測

図1 高低変位評価指標と上下動揺実測値との比較(100m区間毎の最大値)



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