2.直流線区に対応した地上用電力貯蔵装置

 直流電気鉄道におけるパンタ点電圧降下、電力負荷変動、回生電力失効等の問題を解決する手法として、車両の回生時等に電力を蓄電し力行時に放電することにより、負荷平準化、エネルギー効率向上を図る電力貯蔵装置が注目されています。これまでに電力貯蔵媒体として電気二重層キャパシタ、および貯蔵媒体と架線系との電力の授受を行う電力変換装置として昇降圧チョッパを用いた縮小システム(直流400V用)により、基本特性の検証を実施しました。
 この成果により、直流600V用の電力貯蔵装置を製作し、営業線区において検証試験を実施しました。電力貯蔵装置を、2つの変電所のほぼ中間に位置する検車区の屋内に設置しました(図1)。図2に示した貯蔵装置は、架線電圧が設定された電圧以下になったときに放電(電車へ電力を供給)し、貯蔵装置の貯蔵電力量が減少した場合に充電(両側の変電所から電力を供給)するように制御しました。その結果、図3に示すように検車区の架線電圧は目標値の550V以下にならず、良好な電圧補償制御を行うことがわかりました。今後は直流1500V線区への実用化に向けた研究を進める予定です。
 なお、本研究は、国土交通省補助金を受けて実施しました。


図1 電力貯蔵装置試験区間


図2 検車区に設置した貯蔵装置

図3 架線電圧降下の補償例



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