9. 急曲線部低速走行時の乗り上がり脱線に対する安全性評価手法
・乗り上がり脱線のメカニズムを明らかにし、各種の影響因子を定量化しました。
・現行の推定脱線係数比による評価手法が妥当であることを検証しました。
・輪重減少率を用いた低速走行試験時の安全性評価手法を提案しました。

 クリープ力特性試験、総研構内脱線走行試験、車両走行シミュレーション、営業線での摩擦係数実態調査を行い、乗り上がり開始から脱線に至るまでのメカニズムを明らかにして、各種影響因子を定量化しました。また、これらの結果をもとに@机上検討による安全性評価手法、A低速走行試験時の安全性評価手法を提案しました。
 輪重横圧推定式に適用している内軌側横圧輪重比の設定モデルやアタック角推定式の妥当性を、総研構内脱線走行試験データで検証しました。また、クリープ力特性試験で得られたアタック角とクリープ力の関係をもとに限界脱線係数を計算し(図1)、机上での安全性評価には、現行の推定脱線係数比による評価手法をそのまま適用すれば、摩擦係数が増大した場合にも安全性が確保されることを示しました。
 車輪/レール間の摩擦係数を制御することが困難な実車での走行試験における評価法として、内外軌の摩擦係数に依存しにくい輪重減少率を指標に用いる方法を提案しました。クリープ力特性試験結果をもとに、摩擦係数が変化したときの指標値と車輪上昇量との関係を検討し、摩擦係数が増大した場合を想定して軸距約2mの一般的な旅客電車に対する評価の目安値を提案しました(図2)。半径の大きい曲線では、より安全側の、従来から適用されている静的輪重減少率0.6を評価の目安としました。
 なお、本研究は国土交通省補助金を受けて実施しました。




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