JRの在来線トンネルの約3割は、昭和初期までに建設されたブロック積みトンネルです。これらの中には、地圧や目地劣化による変状がみられるものもあり、適切な維持管理手法の確立が求められています。しかし、ブロック積みトンネル特有の力学挙動を考慮した耐力評価法が確立されていませんでした。
このためには、ブロック積みトンネルが外力を受けたときの挙動を把握することが必要です。そこで、1/30スケール全体模型および1/2スケールアーチ部分模型の載荷実験を行い(図1)、健全なブロック積みトンネルは無筋コンクリートのトンネルと同等の耐力を有することや背面空洞、目地やせ等の構造欠陥が耐力に及び変形特性に著しく影響することなど、ブロック積みトンネル特有の力学挙動を把握しました。
また、これらの実験を再現できる、ブロック積みトンネルの骨組構造解析によるシミュレーション手法(図2)を開発し、覆工の耐力と変形特性,対策工の効果などを計算により定量的に把握しました。さらに、これをもとに、ブロック積みトンネルに対応した健全度判定表を提案しました。
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