2. 地上用電力貯蔵装置による回生吸収機能の検証試験
・回生電力の充電による架線電圧上昇の抑制など、回生吸収効果が得られました。
・直流1500V系への地上用電力貯蔵装置の適用に対する必須項目を提案しました。

 電気二重層キャパシタを用いた地上用電力貯蔵装置の実用化に向け、これまで直流600V線区において「電圧降下補償」を目的とした検証を実施し、今回、直流750V線区において、「回生電力の吸収効果」に関する検証を実施しました。
 電力貯蔵装置は、貯蔵媒体の電気二重層キャパシタ、電力変換器の昇降圧チョッパ、キャパシタ電圧調整用の抵抗器で主に構成されます。電気二重層キャパシタは500kWで10秒間以上の連続充電もしくは放電が可能な容量を有しています。直流750V用電力貯蔵装置を設置したA駅末端にはセクションがあり、A駅で停車・発車する際に、き電電圧の上下変動が生じやすい区間です(図1)。そこで昇降圧チョッパの働きにより、電車がA駅停車のためにブレーキをかけることによって825V以上となる回生時に充電するように制御しました。試験の結果、電車回生時に大電流(約800A)が流れており(図2)、回生電力を設計通り吸収していることを確認しました。同時に、貯蔵装置の充放電により、A駅のき電電圧の上昇が30V程度抑制されることを確認しました。
 さらに、所内で直流1500V系における電力貯蔵装置の充放電特性を検証し、装置の絶縁性能および直流回路保護機能を確認しました。その結果から、隣接変電所の脱落時のバックアップ、高調波電流の抑制ならびに回路故障判定のためのパラメータ設定など、直流電気鉄道の大部分を占める直流1500V系への地上用電力貯蔵装置の適用に必要な項目を提案しました。
 なお、本研究は国土交通省補助金を受けて実施しました。




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