新幹線のトンネル坑口付近では、通常の走行音にトンネル内を反響して坑口から放射される音(反響音)が加わるため、通常の明かり区間に比べて騒音レベルが高くなります。新幹線トンネル坑口付近での騒音レベルを予測するため、道路交通騒音の分野で提案されているトンネル坑口音予測手法に鉄道総研で開発した新幹線騒音予測手法での音源モデルを組み合わせた手法を提案しました。
本手法では、坑口付近の騒音を、トンネル内壁を反射せずに到達する音(直達音)と反響音に分離することによって予測します。実測値と予測値のレベル変動を比較した結果、両者は定性的に類似した傾向を示しました(図1)。また、トンネル坑口が車体によって遮蔽される影響を表す補正項を導入することにより、実測値と予測値が定量的に一致することを示しました。さらに、坑口騒音対策として、防音壁の嵩上げおよびトンネル内壁吸音を提案し、それぞれの騒音低減効果を予測しました。その結果、トンネル坑口付近の騒音を低減するためには、観測点から見て坑口が完全に隠れる高さまで坑口周辺の防音壁を嵩上げする対策が有効であること、トンネル内壁吸音対策に比べ、防音壁嵩上げ対策の効果が大きいことを明らかにしました(表1)。
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