鉄道開削トンネルに代表される鉄筋コンクリート(RC)地下構造物の中には、地盤条件や当時の施工技術に起因して、漏水による鉄筋腐食やひび割れといった変状を有するものもあります。維持管理においては、その変状が耐力に影響するものか、耐久性に影響するものかを判断し、前者であれば早急な対応が必要となります。しかし、判断の拠り所となるRC地下構造物特有の力学挙動を考慮した定量的な耐力評価手法はこれまでありませんでした。
そこで、コンクリートと鉄筋の付着特性およびコンクリートの引張軟化特性を考慮して、ひび割れ発生に伴うRC地下構造物の非線形挙動をFEM解析で表現できる耐力評価手法を提案しました。鉄筋腐食や断面欠損等の変状を模擬した模型実験や実構造物に発生したひび割れの調査結果と本手法による解析結果を比較し、鉄筋およびコンクリートの発生応力やひび割れの発生状況が、ほぼ一致することを確認しました(図1)。さらに本手法は、建設後50年を超えた鉄道開削トンネルの耐力評価業務にも活用されました(図2)。本研究は、国土交通省補助金を受けて実施しました。
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