軌道を走行する車両の脱線係数、輪重減少率、動揺などの車両応答が予めわかれば、「揺れる箇所」「安全性が損なわれそうな箇所」から優先的に軌道保守を投入できるようになり、安全性を低下させることなく保守量を減らすことが可能となります。輪重、横圧、振動加速度といった車両の応答を知るためには、車両運動シミュレーションを行うのが一般的ですが、保線区等の現業機関では適用が難しい面がありました。
そのため、車両運動シミュレーションと同等な計算を、軌道保守管理データべースシステム(ラボックス)を用いて行う手法を開発しました。この方法では、まず車両諸元等をもとに車両運動シミュレーションモデルを作り、次にこのシミュレーションモデルとほぼ等価な統計モデル(線形ディジタルフィルタ)を作成します。この統計モデルと軌道検測データを用いて車両の応答を予測するものです(図1)。この方法では、例えば延長100kmの線区の輪重変動予測を数秒で計算可能です。またシミュレーションとの誤差は、直線・曲線区間とも標準偏差で1kN程度です。
本手法をJR各社で用いられているラボックスに適用することにより、保線区等での車両応答予測計算が可能となり(図2)、軌道保守の効率化が実現できます。
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