1.鋼鉄道橋用環境負荷低減型塗装仕様の開発

・環境負荷を大幅に低減できる塗替え塗装仕様「ECO」を開発しました。
・鉛化合物を含まず、有害化学物質約70%、VOC約80%削減が達成できました。

 鋼鉄道橋などの鋼構造物は、その多くが塗装で防食されています。このため、古くから、鋼構造物の維持管理では鉄道総研編集の「鋼構造物塗装設計施工指針」を参考に塗装仕様の選択や塗装施工がなされてきました。
 1993年の「鋼構造物塗装設計施工指針」改訂の後に、地球環境、地域環境や人の健康障害など問題が大きく取り上げられるようになり、材料開発においても、環境への配慮が必要不可欠な状況となっています。これを受けて、鉛・クロム化合物を含まないうえに、国がPRTR法で指定する有害化学物質を中心に従来の塗装仕様に比較して約70%削減し、近年問題視されてきたVOC(揮発性有機化学物質)含有量では環境省が示す目標削減率30%を大きく上回る約80%削減した塗替え塗装仕様(環境負荷低減の仕様を強調するため「ECO」と命名)を開発しました。
 塗装仕様「ECO」は、鋼構造物の中塗用及び上塗用に開発したもので、従来の塗料とは異なり、鋼橋の要求性能を満足する水を溶媒とする新規の塗料を用いています。実際の橋梁を用いた施工試験(図1)でも大きな問題なく施工できることを確認しました。また、塗装仕様「ECO」の耐久性を鉄道総研式複合サイクル試験で比較した結果(図2)、従来の塗装仕様より高い耐久性が期待でき、ライフサイクルでのコスト削減にも寄与できます。
 これらの成果を基に2005年に「鋼構造物塗装設計施工指針」が改訂され、環境負荷低減型塗装仕様と性能規定が導入されました。2006年度以降、JR各社に活用される予定です。




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