1.既存鉄道施設の耐震性能評価に用いる地震動の設定
  • 日本全国を、内陸活断層地震が卓越する地域と海溝型地震が卓越する地域に区分し、鉄道施設を評価するための標準的な地震波形を策定しました。
  • 土木構造物、建築旅客上屋、電車線柱の耐震性能の評価方法はこれまで統一されていませんでした。そこで、これらの鉄道施設の耐震性能を同じ外力の下で評価するための評価用地震波形を策定しました。
     鉄道施設の耐震性評価に、どのような地震動を想定するべきか判断するための指標として、日本全国の地震危険度解析を実施し、地域ごとに最も影響度の大きい地震を抽出することにより、日本全国を内陸活断層の影響を大きく受ける地域と海溝型の影響を大きく受ける地域に県単位で分類しました(図1)。内陸活断層の影響を大きく受ける地域ではマグニチュード(M)7クラスの地震が直下で発生した場合を想定し、海溝型の影響を大きく受ける地域ではM8クラスの地震が60km程度離れた位置で発生した場合を想定しました。ただし、陸地近傍で発生する場合は、別途検討が必要です。
     次に、様々な地震動を入力して、各施設の地震応答解析を実施した結果、鉄道施設の耐震性評価に用いる地震動としては、1〜5Hz(周期0.2〜1.0秒)程度の範囲で振幅が連続して平坦であるものが適切であることが分かりました。そこで、内陸活断層地震および海溝型地震について、既往の観測記録の地震規模と震源距離を補正する方法により、標準的な地震波形を作成しました(図2)。前者は継続時間が短く、加速度の大きいパルスが数波であるのに対して、後者は継続時間が長く、同程度の振幅の波が数十秒間繰り返されています。対象地点が図1のどちらの地域に属しているかにより、図2の地震波形を適用します。これらの地震波形は、各地域で想定すべき上限の地震動として設定したもので、対象地点の地震活動度や断層からの距離などにより低減させます。




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