7.信号設備の雷害対策と雷害低減効果評価手法
  • 踏切制御子の耐雷性能を約2倍に向上できる雷害対策を提案しました。
  • 対策の実施により、雷被害を現状より約1/5に減らすことができます。
  • 雷害は、信号機器の中でも踏切制御子において多数発生しています。これまでに保安器の接地線をレールに接続するなどの様々な雷害対策が提案されていますが、現状ではそれらの対策による雷害低減効果が不明であるため、対策を実施すべきかの判断が容易にはできません。
     現行の踏切制御子の雷害対策では保安器を非接地としていますが、接地による対策を提案し、その雷過電圧抑制効果を現地試験により検証しました。対策として通常信号設備に適用されるD種接地(100Ω)を施すことで雷過電圧の抑制効果が見られます。さらに接地抵抗を20Ωに低減させた場合には、同じ大きさの落雷に対しても、発生する雷過電圧が現状対策の半分となり、耐雷性能を約2倍に向上できます(図1)。
     また、日本で最も落雷頻度の高い地域にある踏切設備において落雷時に発生する雷過電圧の頻度分布を求め、踏切設備に発生する雷過電圧とその雷過電圧を超える落雷が1年間に発生する累積頻度の推定式を作成しました(図2)。現状対策の耐過電圧である10kVを超える雷過電圧が発生して雷被害に至る頻度は、図2中の推定式より、1.05回/年と推定されますが、対策(20Ω接地)を行うと、耐過電圧が約20kVとなるため、雷被害の発生頻度を現状の約1/5の0.24回/年にまで低減できることがわかります。本推定式は、適用する地域の落雷頻度を考慮して推定式の係数を低減することにより、雷害の低減効果を評価するのに活用できます。適用地域の落雷頻度は公表されている落雷頻度マップから求めることができます。




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