8.新しい運転適性検査手法
  • 異常時における対処能力の評価を目的とした多重選択反応検査の採用など、検査項目の入れ替えを行い、新しい運転適性検査の手法を提案しました。
  • 鉄道における「運転適性検査」の基本的な枠組みは、50年前に制定されています。一方、列車の高速化、ダイヤの高密度化、作業の自動化など、運転取扱作業を取り巻く環境はこの間に大きく変化し、従事員が担うべき役割も変化したことから、現状に即した新しい検査体系の開発に取り組んできました。
     鉄道事業者の運転取扱従事員約1,500名を対象に、新たな検査候補(「多重選択反応検査」、「割込抑制検査」、「注意容量検査」および「PC版処置判断検査」の4検査)のモニター調査を実施しました。併せて当該従事員の現行4検査(「作業性検査」、「機敏性検査」、「識別性検査1群・2群」、「注意配分検査」)の成績と最近6年間の事故データを収集し、これらの対応関係を分析しました。
     各検査の成績を上中下位群に三分割し、各群の全体平均を100として事故発生頻度を指数化した事故指数との関係をみると、現行検査では「作業性検査」、「識別性検査1群」が、新検査候補では、異常時における総合的な対処能力の予測を目的とした「多重選択反応検査」と、慣れや思い込みに起因するエラーの発生しにくさを測る「割込抑制検査」が、検査成績が低い群ほど事故を引き起こす割合が相対的に高くなっていることが確認できました(図1)。
     この他の分析結果も踏まえて、以下に示す新しい適性検査方法を提案しました。
     @ 作業性検査は引き続き実施する。
     A 機敏性検査を多重選択反応検査に変更する。
     B 識別性検査は1群のみを残し、2群検査は実施しない。かわりに割込抑制検査を導入し、識別性検査1群と組み合わせて実施する。
     C 注意配分検査は実施しない。




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