貨物列車は複数の地域をまたがる長距離運行が多く、ある区間で輸送障害が発生すると、その影響が重なり全体のダイヤが大幅に乱れることがあります。このとき、列車の遅延や運休にあわせて乗務員の担当列車の変更(運用整理)を行う必要がありますが、担当者の手作業に委ねられており、業務負担の軽減と迅速化が望まれています。
そこでダイヤ乱れの情報(図1)をもとに、乗務員の列車乗り継ぎにかかる時間などの物理的制約や、乗務員が運転可能な区間などの実務的制約を満たしつつ、各列車に乗務員を割り当て直す、数理最適化技術に基づいた乗務員運用整理案自動作成システムを開発しました(図2)。本システムでは、担当乗務員を変更する列車数を少なくすることや、乗務員の超過勤務時間を少なくすることなど、整理にあたっての重視項目の重みを変えることができ、同じダイヤ乱れに対して内容の異なる複数の整理案を作成し比較することができます。
列車本数が1日200本強の区間に30本程度のダイヤ乱れが生じた場合の運用整理案の作成試験では、パソコンを用いて概ね20秒以内で妥当な整理案が得られることを確認しました。
今後は、このシステムに機関車運用整理案自動作成機能を追加し、乗務員運用整理と連携した、総合的な運用整理支援システムを開発する予定です。また、より運行頻度の高い旅客列車への適用も検討していきます。
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