コンクリートに使われる普通セメントを生産する際に排出されるCO2量は、地球規模で産業全体から大気中に放出されるCO2量の約7
%に及んでいます。そこで、石炭灰とケイ酸アルカリ溶液を混合して硬化させるジオポリマー法による、新しい環境負荷低減コンクリートの作製法を提案しました。また、石炭灰は廃棄処理が問題となっており、環境問題にも対応できます。
セメントとジオポリマーの耐酸性試験では、ジオポリマーの外観に変化がなく(図1)、表面からわずかに硫黄成分が浸透した領域(図2)でも劣化物が生じず、酸劣化抵抗性に優れていることがわかりました。さらに、凍結融解抵抗性やアルカリ骨材反応抵抗性ともに高く、従来では凍害、アルカリ骨材反応等による劣化が起こりやすいとされる人工軽量骨材を使用した軽量コンクリートにも適用可能であることがわかりました。本ジオポリマーコンクリートの圧縮強度は、基礎試験において、使用するアルカリ溶液中のアルカリと水とのモル比と相関があることを見出しました(図3)。このため、必要とする圧縮強度が得られるモル比を選択することにより、自由に目標強度のコンクリートを作製できます。
今後、ジオポリマー軽量コンクリート製のまくらぎなどコンクリート工場製品への適用を検討し、実用化を目指します。
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