浮上式鉄道用車載超電導磁石には信頼性・耐久性はもちろん、軽量化と省エネルギー化が求められています。高温超電導線材を導入すると液体ヘリウムを使用せず、冷凍機で直接コイルを運用温度まで冷却できるため、磁石の軽量化と車上冷凍機の省エネルギー化が期待できます。そこで数種類ある高温超電導線材の中でも、磁場特性に優れ、コスト低減が期待されるイットリウム系線材の浮上式鉄道用車載超電導磁石への適用について検討しました。
希土類系線材の一種であるイットリウム系線材の特性から、超電導コイルの冷却温度を変えた場合のコイルと冷凍機の質量の変化を分析しました。その結果、超電導コイルと冷凍機の質量が最も軽くなる冷却温度があることがわかりました(図1)。高温超電導線材の導入により超電導コイルと冷凍機部分が40%程度軽量化できます。また、冷凍機の消費電力も40%程度低減できます。
レーストラック型小型超電導コイルを試作し(図2)、通電試験を行った結果、試作コイルの電流容量等の性能は線材単体の性能と同等で、コイル化に問題が無いことがわかりました。今後はこのコイルを用いた通電試験により最適な冷却温度を求め、断熱容器に納めて小型超電導磁石を構成する予定です。
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