8.SQUID を用いたレール白色層の検出
  • レール白色層測定が可能なSQUID検査システムを開発しました。
  • 自走可能なレール白色層測定装置を製作しました。

 鉄道車両の駆動時の車輪空転や制動時の滑走などにより、レール表層部に白色層と呼ばれる硬くて脆い熱変態組織が発生することがあります。白色層の存在によりその内部および周囲に微小き裂が発生し、それらのき裂を放置したままレールの使用を続けると、シェリングなどのレール損傷にいたる場合があります。白色層の検知のために、スポット的に硬さ測定や目視確認が実施されていますが、連続的に検査する手法は現状ではありません。そこで、通常のレール材質と白色層の電磁気特性の違いに着目し、SQUID( スクイド:超電導量子干渉計) によって白色層を検出する装置を開発しました。高感度磁気センサであるSQUID を屋外で使用するには、特に残留磁化などの磁気ノイズの除去が必須です。本装置では渦電流検査プローブからの微弱な信号をSQUIDで増幅する方式を採用しました。この方式ではSQUID 自身を小型磁気シールド内に完全に格納することができるため、地磁気やレールの磁気ノイズの影響を受けにくいシステムになります。検査プローブからレールに交流磁界を印加すると、レールに発生する渦電流が誘導磁界をつくります。白色層の膜厚に応じて生じる誘導磁界の位相変化( 図1) に着目し、理論解析値と比較することで白色層の膜圧の評価を行います。
 開発した装置を搭載した自走式測定装置を製作し、レール頭頂部を連続的に検査できるようにしました ( 図2)。この測定装置により、頭頂部白色層の状態を連続的に検知することができるため、き裂にいたる前段階でのレールの早期診断に活用できます。今後屋外での測定ができるように周辺機器を小型化していく予定です。





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