ある軸で空転が発生したときや再粘着制御が行われるときに、空転軸の伝達力が変化し、伝達力を受ける台車や車体にピッチングを起こす回転モーメントが働きます。その結果、粘着状態にあった他の軸に軸重の変化が生じ、空転が誘発され易くなります。空転軸からの軸重移動に伴う他軸の軸重の変化を考慮した再粘着制御ができれば、粘着力を有効に活用することが可能となります。 そこで、空転軸が引き起こす軸重の変化を考慮した、空転誘発の軽減を目指す制御方式を開発しました。具体的には、空転軸の加速度に基づいて他軸のトルクを増減し、動的な軸重移動補償を行います。この制御方式をEH200 形式直流電気機関車に適用し、空転誘発を抑制する再粘着制御系を構成しました(図1)。 制御の有効性を確認するため、散水空転試験を実施しました(図2)。その結果、空転回数(空転再粘着制御実施回数)は平均で約20%低減し、平均牽引力は約4%向上し(図3)、空転頻度を低減して牽引力を向上することを確認しました。 今回は個別制御方式の機関車で実証しましたが、今後は台車単位での制御方式の機関車等への適用を検討していきま す。