新幹線用パンタグラフすり板には、さらなる高速化とパンタグラフ数削減に伴う集電電流の増加によるすり板摩耗量の増加、さらには環境負荷低減への対応が求められています。これまでに、最新の固体潤滑技術を採用し、金属硫化物やビスマスなどの新しい潤滑成分を用いた新幹線用焼結合金すり板を開発しました。これらは2007 年度から一部の新幹線(営業最高速度275km/h)において全編成で実用化されています。 今回、さらに高速域での摩耗特性を評価するための走行試験を行い、最高速度275km/h 以上の高速走行でも異常摩耗を起こすことなく使用できること、耐摩耗性も現用材と比較して同等以上であることを確認しました( 図1)。また、新在直通新幹線にも適用するため、新しい潤滑成分を用いた新幹線用焼結合金すり板を新在直通新幹線車両に試験搭載して在来線区間における摩耗特性調査を行い、すり板の摩耗特性( 図2) およびトロリ線への影響は、現用すり板と同程度であることを確認しました。 このことから、最高速度275km/h 以上の高速走行および新在直通新幹線区間においても新しい潤滑成分を用いた新幹線用焼結合金すり板が実用可能であることを確認しました。