トロリ線とパンタグラフの離線時に発生するアーク放電は強い光を伴い、すり板やトロリ線の摩耗および騒音の原因にもなります。その発生状況の測定には、光ファイバを車両の屋根上から車内まで敷設した光学式離線測定装置が使用されます( 図1)。これまでのプラスチック光ファイバを用いた測定装置では、アーク放電発生時の可視光線領域の波長しか検出できないため、太陽光や支持金具の反射光など、離線以外の光を誤検出し、測定が困難なことがありました。 この問題を解決するため、電車線材料にアーク放電を発生させ、そこから得られるアーク光の波長を詳細に調べた結果、アーク光には波長200 〜 240nm の紫外線領域の光が太陽光と比較しても格段に多く含まれていることがわかりました。そこで、紫外線を可視光線に変換する蛍光ガラスを用いた変換ユニットを開発しました( 図2)。この変換ユニットを従来のプラスチック光ファイバの先端に装着することで、太陽光などの影響を受けずに離線測定を行うことができます。 この変換ユニットを装着した測定装置は既に在来線の離線測定で用いられ、良好な測定結果および検出感度が得られることを確認しています( 図3)。今後は新幹線の走行試験により検出感度等を確認するとともに、検測車への搭載を目指します。