鉄道総研ではディーゼルカーの置き換えなどを目的に、低騒音で排出物が水のみのクリーンな燃料電池を電源とする車両の開発を2000年より進めてきました(図1)。今回、回生電力を吸収し、力行時に駆動電力を出力するリチウムイオンバッテリーとバッテリー電力の充放電制御を行うチョッパ装置を新たに試作し、燃料電池とのハイブリッド化を行いました。 試作したリチウムイオンバッテリーは、168セル(30Ah)を2並列に接続し、最大360kWの回生電力の吸収が可能です。バッテリーの充放電を行うチョッパ装置は、主回路に接続されている全ての装置と制御信号の送受信を行い、燃料電池との出力分担制御を行います(図2)。 これらの装置を搭載した試験電車を用いて、鉄道総研の構内試験線で走行試験を行いました。停車中は燃料電池からバッテリーを充電し、加速中はバッテリー電力(および燃料電池)により走行し、回生ブレーキによる減速中は回生電力によりバッテリーを充電し、空気ブレーキによる減速中は燃料電池からバッテリーを充電する制御を行います。その結果、架線からの電力供給なく2両編成の車両が走行できることを確認しました(図3)。