1. 積層型FRP ブッシュを適用した地上コイル締結部
  • 地上コイルのボルト締結部用に安価な積層型FRPブッシュを開発しました。
  • コイル締結部近傍の応力集中を大幅に緩和できることを確認しました。
  • 動的な電磁加振により耐久性を確認しました。

 リニア車両走行時の電磁力による振動環境下で長期間屋外使用される地上コイルとガイドウェイとの締結部は、保守管理コストやシステムの信頼性に影響を及ぼす重要な構成要素です。一方、地上コイルの締結において有力なボルト締結方式では、樹脂部に締結軸力による圧縮クリープや締結部近傍の応力集中に起因する損傷が起き易いことが課題になっています。
 そこで、これらの課題を同時に解決する方法として、ボルト締結部にシートワインディング(ガラスクロスに樹脂を含浸、半硬化させたシートを金型に加圧しながら巻き付け、加熱硬化させる製法)による積層型FRP ブッシュを開発しました(図1)。この積層型FRP ブッシュは、積層内部の強化層に強化繊維をボルト軸方向に配置することにより、圧縮クリープを事実上無視できるレベルまで低減できます。また、弾性率をコイル成形用樹脂の約1/3に抑えた応力緩和層を最外層に配置することにより、締結部近傍の応力集中を大幅に緩和できます。
 締結部モデルを用い、締結面の段差を模擬して強制的にボルト締結を行う方法により比較検証を行い、締結部近傍の発生応力を従来金属ブッシュを用いたときの約1/3、改良金属ブッシュを用いたときの約1/2程度に低減できることを確認しました(図2)。また、実機コイルを用いた営業線35年相当の電磁加振試験では、ボルト締結部にはブッシュの緩みや亀裂発生等の異状がなく、積層型FRPブッシュの耐久性が金属ブッシュに比べて優れていることを確認しました。





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