4.特殊な信号認識のための画像処理システム

 徐行信号機などの臨時に設置される信号機は、運転士の目視確認に依存しているため、見落としが懸念されます。そこで、徐行信号機の500m程度手前に設置される徐行予告信号機を認識する画像処理手法を開発しました。徐行予告信号機の輪郭データに基づくパターンマッチング手法により、リアルタイムで徐行予告信号機を認識することができます。従来の輝度情報を利用した手法に比べ本手法は、対象の大きさや傾きなどの変化や日射光の影響を比較的受けにくいのが特徴で、昼・夜間及び晴・雨天の現車試験により90%程度の認識率で検知できることを確認しました(図1)。
 踏切の障害を知らせる特殊信号発光機は、800m手前から連続的に視認できることが必要ですが、運行時間帯中に発光させての視認確認は難しいため、昼間でもその視認距離が確認できる仕組みが望まれています。そこで、沿線の外灯などのノイズと識別するために、特定パターンで点滅する、肉眼では見えない近赤外線LEDを付加した発光機と、その点滅を認識する画像処理アルゴリズムを開発しました。また、現場で使えるコンパクトな携帯型パソコンと近赤外線カメラを用いて、昼間でも視認距離を効率よく確認できるプロトタイプ装置を開発しました。昼・夜間及び晴・雨天下での性能試験の結果、ほぼ100%認識できることを確認しました(図2)。今後は、車上から連続的に視認確認する仕組みについて検討する予定です。