3.鉄道構造物のヘルスモニタリングシステム

 鉄道構造物を効率的、かつ効果的に維持管理することを目的としたモニタリングシステムを開発しました。本システムの特徴(図1)は、監視目的(検査に困難が伴う部位の監視や地震等による異常発生の早期検知等)に応じて、構造物の変状を適切に計測できるセンサを既存のセンサも含めて取捨選択できることです。また、センサから指令・本部までのデータ伝送として、電車による回収、携帯電話網によるリアルタイム回収、微小な無線チップ(RF-ID)による人的回収手法を開発しました。これにより個々の鉄道事業者が、線区の重要度、監視目的、条件(構造物種類、変状の種類)、維持管理費に応じた、適切な鉄道構造物のヘルスモニタリングシステムを構築することができます。
 上記センサを実構造物へ設置し、測定精度や耐候性などを検証した結果、十分に実運用可能な精度等が得られることを確認しました。また、鉄道総研所内の試験線においてセンサとデータ伝送機器を配置し、実運用をイメージしたネットワーク全体の機能検証を行ない、複数センサからのデータ取得機能が確実に動作することを確認しました。今後も試験運用を継続し、長期耐久性を検証していく予定です。