4.被災盛土の早期・強化復旧工法

 被災した盛土の復旧では、多くの場合、大型土のうを用いた仮復旧を行い、その後に本復旧する2段階の施工方法がとられます。これは、現地発生土を利用でき施工性に優れた大型土のうを活用することにより、列車運行の迅速な回復をねらったものです。しかし、仮復旧後に大型土のうを撤去しながら本復旧を実施するため、本復旧完了までには多くの時間と費用を要しています。
 そこで、盛土を早期に強化復旧する新しい工法を開発しました。本工法は、仮復旧で用いられる大型土のうを活用し、棒状補強材で串刺し補強することにより、盛土全体の安定性を向上させ、強化復旧を図るものです(図1)。本工法の特徴は、列車運行を確保しつつ、仮復旧に引続いて本復旧への連続的な施工が可能なため、工期が従来の復旧方法の半分程度となることや、仮復旧後の強化が可能なことです。実物の1/10の模型振動実験により、本工法は大地震時においても変形が抑制され(図2)、従前の盛土や仮復旧と比較しても耐震性が高く、本復旧構造として十分な性能を有していることがわかりました(図3)。なお、降雨に対しては、通常の補強土擁壁と同様に排水パイプを配置して対応します。