2.転動音・構造物音の統合的な予測手法と対策効果の評価

 転動音と構造物音は、車輪・レール間に働く加振力が車輪、レールと構造物を振動させることによって発生する音であり、鉄道騒音の主要な音源になっています。そこで、現地試験、数値計算等からそれぞれの発生に係わる物理的現象を解明し、各現象に対応する振動・音響モデルを用いて2つの音を統合的に予測する手法を構築しました。また、現象解明の結果に基づき、転動音、構造物音の低減策を提案しました(図1)。
 図2は、この予測手法を用いて対策の効果を評価した結果の一例です。各対策に対応するパラメータ(車輪、レールの損失係数等)は、現地試験等で得られた値を参照しました。車輪・レール凹凸を適正に管理することで転動音・構造物音が低減されること(@)、軌道パッドの低ばね定数化は転動音、構造物音に相反する影響を与えること(A)などがわかります。これら結果の一部は、実測データからも検証されました。
 この予測手法により、転動音・構造物音の音源別寄与度に応じて、低減策の効果を定量的に評価し、総合的に有効な低減策を提示することが可能になりました。