2.横風を受ける車両周りの流れの数値シミュレーション

 強風時の鉄道の安全・安定輸送を実現するためには、車両の横風空力特性を把握することが重要です。これまでは風洞試験による検討が主体でしたが、自然風に近い空気の流れの詳細な様子を知るためには数値シミュレーションが有効です。
 そこで、築堤・車両に接近する自然風(地上面近傍の乱流境界層)を模擬できる流体解析プログラムを開発しました。このプログラムでは、時間・空間的に複雑に変化する乱流境界層の速度場を再現できるようにしました(図1)。
 乱流境界層が流入する築堤上の流れの数値シミュレーションを行ない、平均風速分布について、風洞試験を再現できることを確認しました(図2)。また、車両に作用する横力の風向角特性を調べるために、形状を単純化した3両編成の車両周りの流れの数値シミュレーションを行い(図3)、斜め風で先頭車の横力が増大する現象を定性的に再現できていることを確認しました。
 今後、開発した流体解析プログラムの精度向上を図り、風洞試験を補完する情報を提供するためのツールとして活用する予定です。