1.新しい滑走検知指標を導入した滑走制御

 ブレーキ距離の短縮を目指してブレーキ力を増大させても、レール・車輪間の粘着の状況によっては滑走が起き、効果が得られません。そのため、滑走が発生してもブレーキ距離の延伸を抑制し、固着による車輪踏面の損傷を防止できる滑走制御が求められています。
 提案する滑走制御は、新たにセンサ等を追加することなく、速度情報から求められる「固着余裕時間(車輪が固着するまでの予測時間)」と呼ぶ新たな指標により滑走の状態を判断します(図1)。この新しい指標を既存の滑走制御と組み合わせ、ブレーキシリンダ(BC)圧力の排気量を減らす新しい滑走制御手法を提案しました。この新しい滑走制御を、編成(7両)のうち3両のみに適用した現車試験では、減速度が約7%向上しました(図2)。
 新しい指標は、既存の多くの滑走制御とも組み合わせることができます。また、滑走の発生頻度が増加して全ての軸が滑走しても、既存の方法に比べて、固着防止性能を維持することができます。