5.小型起振器による土留めの健全度診断手法

 土留めの検査では、従来から目視主体の健全度診断が行われていますが、その健全度を定量的に評価する手法は確立されていません。また、その健全度は裏込め土の緩みや空洞など、目視で確認できない変状にも左右されます。
 そこで、現地試験と模型実験結果から、土留めを振動させてその応答加速度波形からフーリエ振幅スペクトルを求め、所定の閾値(40Hz)までのフーリエ振幅スペクトルの面積を算定し、その面積の大小関係から健全度を診断する手法を構築しました (図1)。さらに、提案手法を実務で容易に実現するために、3〜200Hzまで一定加速度で加振可能な小型起振器を開発しました(図2)。
 本手法を複数の既設土留めに対して適用した結果、提案手法による診断結果と目視による診断結果が概ね一致することを確認しました(図3)。さらに、壁面と裏込め土の間の隙間など、目視で確認できない変状も検知可能であることがわかりました。