9.交流き電回路の故障点標定装置

 交流き電回路に発生した地絡等の故障点に対する精度の高い標定は、ダウンタイムの縮小に欠かせません。しかし、従来方式の故障点標定装置では標定誤差が1km前後と大きい場合があり、標定精度向上が求められています。
 故障点から高速で伝播するサージ(過渡電圧)の到達時間を回路両端で検知して標定計算を行う「サージ検知式」(図1)では、フィールド試験によって標定誤差が従来の1/5以下であることを確認しました。本方式は高精度が期待できますが、新幹線では切替開閉器動作サージ等への対応が必要です。
 一方、故障点を挟むAT(単巻変圧器)の電圧差が、各ATから故障点までの距離と各ATを通過する故障電流の積の差と等しいことから故障点を標定する「差電圧式」 (図2)では、標定誤差が従来の1/3以下に縮小可能となることをフィールドでの低圧試験によって確認しました。本方式は、従来方式とほぼ同等のハードウェアで構成できます。なお、両故障点標定方式ともに、同期測定した電気量測定結果を中央に伝送して計算する構成となります(図3)。