1.短いトンネル状構造物に発生する圧力波の予測手法と対策

 トンネル坑口付近では、新幹線走行に伴い様々な低周波音が観測されます。代表的な現象として「トンネル微気圧波」がありますが、それ以外にも、数10mのシェルター・トンネルや跨線橋などの短いトンネル状構造物から放射される圧力波があり、「短構造物通過波」と呼ばれています。
 短構造物通過波は、様々な圧力波の重ね合わせから構成されます(図1)。そのため、短構造通過波は観測点によって圧力波の特性が異なり、観測点に対応した検討が必要です。そこで、従来の数値モデルを改良し、開口部無しタイプの緩衝工の圧力低減効果、複線での列車片側載線の影響、列車先頭部に発生する圧力場の坑口による遮蔽の効果を含む数値モデルを構築し、高速計算による予測を可能にしました(図2)。また、短構造物通過波の対策として、地上側で実施可能な緩衝工による低減効果を模型実験で検討し、現地の実測値と比較し有効性を確認しました(図3)。
 これらの成果は、鉄道沿線の環境対策を検討する際のツールとして活用できます。