2.ブレーキディスク表面の温度低減手法

 新幹線に代表される高速鉄道において、今後の速度向上やブレーキ力向上を想定すると、ディスク温度はさらに上昇し、熱亀裂等の発生が懸念されます。そこで、ディスクの表面温度を低減させる手法を開発し、実物大ディスクを用いた台上試験により温度低減効果を確認しました。
 ディスクの表層部を特殊な溶接で改質する(図1)ことにより、ディスクの母材である鍛綱に比べて熱伝導率を約80%向上させました。また、熱流体シミュレーションを実施したところ、ディスクの内側に冷却フィンを取り付けることによって表面の流れが乱流化し、熱伝達率が約40%向上することがわかりました(図2)。
 これらを適用した実物大ディスクを試作し(図3)、300km/hからの非常ブレーキ台上試験を実施した結果、現行型に比べてディスクの表面温度が約10%低下し(このうち、表面改質による効果は約83%、冷却フィンによる効果は約17%)、さらに800℃を超える赤熱領域が約95%削減されることを確認しました(図4)。