3.編成貨車のブレーキ引通し指令線の断線箇所検知装置

 貨物列車組成時に行われる検査項目に、ブレーキ引通し指令線(以下、指令線)の導通確認があります。指令線の断線が発見された場合には断線箇所の特定に半日程度の時間を要しています。
 そこで、編成端から指令線の断線箇所を特定するアルゴリズムを構築し、編成貨車の指令線に断線が無いか、あるいはどこが断線しているかを特定する断線箇所検知装置を開発しました(図1)。アルゴリズムは、まず、ケーブルと電磁弁の電気抵抗からなる指令線の実態に即した回路網モデルに基づいて約200の閉回路方程式を解き、編成端からみた合成抵抗の理論値を算出します(図2)。次に、理論値と実測値の比較を行うことで、断線の有無と箇所を特定します。その際に外気温による抵抗値変化も考慮して演算を行います。
 実編成貨車を用いた断線模擬試験では、20両目までの指令線の断線箇所を特定できました。また、20両目以降は編成の逆端から測定することで、現行営業列車で最も長い26両編成全体の断線箇所を特定できます。
 本装置を用いることで断線箇所が約30秒で特定できるようになり、復旧時間が大幅に短縮されます。