3.大規模振動台実験による岩盤斜面の安定性評価

 鉄道沿線にも多数存在する岩盤斜面の地震時安定性評価手法を高度化することを目的に、(独)原子力安全基盤機構より鉄道総研が委託を受け、岩盤斜面の動的挙動と崩壊メカニズムの把握に関する実験的・解析的検討を実施しました。実験は、(独)防災科学技術研究所が所有する大規模な振動台である実大三次元震動破壊実験施設(通称:E-ディフェンス)を利用して、模擬する地層構成の異なる2体の実物大斜面模型を用いて、加振実験を行いました(図1)。
 水平動と鉛直動の位相を変化させた正弦波と新潟県中越沖地震の観測波を用いて加振した結果、斜面のり面接線方向に、斜面の応答加速度が増幅し変形が進行することを確認しました。解析では、地盤の離散化を粒子で、ひずみの算定を格子で行う解析手法(粒子法)を適用しました。解析の結果、従来の手法では取扱困難であった斜面の大変形・崩壊挙動を粒子法で追跡できることを明らかにしました(図2)。
 本成果により、鉄道沿線に多数存在する自然斜面の地震時安定性を精緻に評価できるようになりました。