5.地上モニタリングによるパンタグラフの異常検出手法

 パンタグラフは、その異常を即座に認識することが難しいため、場合によっては広い範囲にわたって電車線設備に損傷が発生することがあります。そこで、地上設備にセンサを設置し、その区間を通過する全てのパンタグラフを監視することにより、パンタグラフの異常を早期に検出する手法を開発しました。なお、本手法では在来線パンタグラフのすり板の段付摩耗、および揚力異常を検出できます。
 すり板の段付摩耗は、トロリ線に設置したセンサ群でトロリ線の上下・左右方向の振動を計測し、取得した波形から段付摩耗に起因した特徴を抽出することで検知できます(図1)。また、揚力異常については、ハンガ軸力とトロリ線の傾斜によりトロリ線・パンタグラフ間の平均接触力を測定し、その値が許容範囲を逸脱している場合に揚力異常と判定します。提案した検出手法を検証するため所内設備を用いた走行試験を実施し、120km/hまでの速度範囲ですり板の段付摩耗を高い精度で検出できること、揚力異常については平均接触力を十分な精度で測定可能できることを確認しました(図2)。