1.高効率な誘導主電動機

 頻繁に加減速を繰り返す在来線の通勤電車では、消費電力量のうち主電動機の損失によるものが大きな割合を占めます。そこで、電車の省エネ化を目指し、損失が少ない高効率な主電動機を開発しました。
 従来の主電動機と互換性を持たせるため、基本的な構造や方式は従来と同じ自己通風式の誘導電動機としました。高効率化の方法としては、電流が流れる導体や磁束が流れる鉄心に低損失材料を使用し、損失の低減を図りました。また、電流と磁束の配分を最適化し損失の低減を図りました。さらに、コンピューターシミュレーションにより電動機の回転子表面で損失が発生することを明らかにし、その損失を低減できる新しい回転子構造を考案しました。この新回転子構造では、損失が集中的に発生する回転子表面付近に空隙を設けて損失発生を低減しています。
 これらの高効率化手法を適用した主電動機を試作し試験を行った結果、得られた効率は約96%であり、比較対象とした従来の主電動機の約93%の効率に対して大幅な効率向上が確認できました。
 また、実使用時の省エネ効果について走行シミュレーションにより試算した結果、従来の主電動機に比べて最大で約10%の省エネ効果が得られることが分かりました。