2.鉄道用超電導ケーブルの製作

 き電システムの省エネルギー化を目的とし、鉄道用の超電導ケーブル開発を行っています。電気抵抗ゼロの送電が可能となる超電導ケーブルを現在の直流電気鉄道の送電線に適用すると、回生失効や送電損失が低減できます。その他、変電所間の負荷平準化や電圧降下の低減による変電所の集約化などの効果も期待されます。また、レールに流れている帰線電流も超電導ケーブルに流すことで、双方向通電となり漏えい磁場を低減できるとともに電食の問題も解決可能となります。
 超電導ケーブルを現行の直流電気鉄道へ適用する場合、都市圏の過密路線では現状で8〜12kAの電流容量が必要となります。そこで、実路線仕様として、DC1.5kV、8kA級で長さ5mの超電導ケーブルを製作しました(図1)。本ケーブルは、同軸構造となっており、1本のケーブルでき電電流(+層)と帰線電流(−層)を流すことができます。また、ケーブル内に往復の冷媒経路を有し、見かけ上1本で冷媒の循環が可能となるGo-Return(対向流循環)方式としています。通電試験の結果、送電損失なく10kA以上の電流を通電できることを確認しました(図2)。この値は、世界トップクラスとなります。