2.貨車用シリコン緩衝器

 連結器遊間の衝撃などにより比較的頻繁に発生する車体前後動の低減を目的として、貨車用のシリコン緩衝器(図1)を開発しました。この開発器は引張、圧縮用2組の緩衝ゴムを有し、お互いの組み付け余圧を相殺することで初圧のない柔らかな特性を実現しています。旅客車で主流となったこのような構造を貨車に適用するため、緩衝ゴム内に高粘度のシリコンゴムを封入したシリンダを組み込み(図2)、衝撃の大きさに応じてゴムの変形抵抗にシリコンゴムの流動抵抗が加わり、十分なエネルギ吸収性能を確保する構造となっています。
 コンテナ車6両で実施した走行試験では、開発器を取り付けた貨車とそれ以外で、車体前後加速度波形に明確な差が見られました。同じ連結部で開発器と現行器の変位−自連力応答を比較すると、開発器が柔軟に作用しているのが分かります(図3)。
 また、営業車による耐久試験および1,000tを超える長大貨物列車の運動シミュレーションによる検証により、実用化の目途が得られました。