6.剛体電車線の適用拡大による保守の低減

・離線の原因であるたわみを低減した剛体電車線を提案しました。
・営業線でのトロリ線の局部摩耗は少なく、トロリ線張替え回数の低減が期待できます。

 断面積の小さな狭小トンネルはトンネル壁面と架線の離隔が小さいため、特殊なカテナリ架線が設備されており、メンテナンスや設備の信頼性の面から弱点箇所となっていました。この弱点を改善するため、狭小トンネルに従来よりたわみを低減した剛体電車線の導入を提案しました(図1)。剛体電車線が架設されている地下鉄などの線区では専用のパンタグラフを搭載した列車が走行しますが、一般の山岳トンネルでは特急電車や電気機関車など様々なパンタグラフを搭載した列車が通過するため、離線が問題となります。今回提案した剛体電車線は離線の原因である架台のたわみを従来の約60%に低減しています。営業線に導入し離線を測定した結果、図2に示すようにすべてのパンタグラフ条件において離線率は目安値である3%を下回っており、良好な特性であることを確認しました。また、所内走行試験の結果も踏まえると一般的な在来線の最高速度である130km/h程度まで適用可能であると考えます。さらに、継続的にトロリ線の摩耗状態の調査を行ったところ、架設後30ヶ月程度において剛体電車線のトロリ線摺動面の摩耗状態は同じ線区のトンネル内の特殊なカテナリ架線と比べて局部摩耗が少ないことが確認できました(図3)。以上の結果に加えて、剛体電車線が無張力であることも考慮すれば、トロリ線張替え回数の低減が期待できます。

 



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