3.石積壁の地震時安定度評価手法の開発 | |||
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石積壁については、地震時における変形量を予測する手法がなかったため、耐震性能を適正に評価することができませんでした。そこで、模型石積壁を用いた振動台実験の結果を基にして、地震時における石積壁の複雑な挙動を再現できる、比較的簡易な要素で構成した解析モデルを構築しました(図1)。また、モデルを構成する各要素の特性値を得る手法、地震動の入力方法、残留変位の算定方法などを検討して、石積壁の地震時挙動解析手法を提案しました。さらに、この解析手法を用いて、石積壁の地震時安定度を高さと勾配別に評価できるノモグラムを作成しました(図2)。これらの新しい解析手法と地震時安定度評価ノモグラムを用いることで、地震時における石積壁の変形量を求めることができ、要求される耐震性能との比較を容易に行うことが可能となります。本解析手法は、間知石とその背後の裏グリ石とを部分的に固化する耐震補強工を施工した石積壁の地震時挙動を評価することが可能であり、想定する地震動ごとに石積壁の高さや勾配に応じた耐震補強工の最適な施工仕様を決定できます。 |