事故が発生するまでには、複数のヒューマンエラーが発生し、それぞれについて複数の要因が影響しています。そのため、一つの事故から考えられるエラー防止策には様々なものがありますが、限られた時間・予算の中で効果をあげるには対策の優先順位付けが必要です。この判断を支援するため、運転作業におけるヒューマンエラーのリスク評価手法を作成しました。
本手法では、まず、エラーの頻度とそのエラーに起因する最大の事故からリスクの値を算出します。的確なエラー防止のためには、リスクの高い事象の特定だけでなく、その誘発要因を考慮する必要があります。そこで、リスク値と誘発要因の影響度を組合せて、対応するエラー防止策の優先度を定量的に算出します(図1)。
この手法を適用した例を図2に示します。作業環境や作業内容などの変更を行なった時にエラーの発生が多いため、I条件変更場面等に関して十分な教育・訓練が必要であることが分かりました。また、運転士自身が異常時という場面に気付かない事象も多いので、B警報などの検出システムの導入によるバックアップが有効であることが分かりました。
こうしたリスク評価の必要性や手続きをまとめた「マニュアル」を作成しました。区所毎にエラー事象とその原因を入力することで、その区所の状況に見合った効果的なエラー防止策の特定が可能となります。
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