2.地盤・構造物情報アーカイブスと解析モデル自動作成ツール

 鉄道システムの地震時安全性評価は路線全体に対して行う必要がありますが、全区間の地盤・構造物情報が必要であること、膨大な数の解析モデル作成に手間がかかることなどから、これまでは実施困難な状況でした。
 そこで、地盤・構造物情報を簡易に管理できる地盤・構造物情報アーカイブスを構築しました。本アーカイブスは緯度経度とキロ程を関連付けて情報を整理し、様々な用途に応じてデータを取り出せるように、地盤の土質種別やN値、構造物の構造種別や高さなどの簡易情報から、土質試験結果や構造物の配筋情報などの詳細情報までを管理できるようにしています。さらに、路線全体のシミュレーションに必要な膨大数の地盤・構造物群を、限られた情報のみからモデル化する手法を構築し、地盤の多層1次元非線形モデルを土質種別とN値から、構造物の等価1自由度モデルを構造種別と高さからモデル化できるようにしました。また、必要な情報をアーカイブスから取り出し、解析モデルを自動作成するツールも開発しました。
 以上より、約100km 区間の簡易地震災害シミュレーションを行い、路線全体の地震時安全性評価の実施が可能となりました。また、地理情報システムGIS上でアーカイブス管理(図1)や解析結果表示(図2)をできるようにしました。今後、本成果を元に詳細解析の実施も可能な地震災害シミュレータを構築する予定です。