安全意識向上のために、運転士や車掌などの現場作業者が、定期的に安全懇談会を中心とした小集団安全活動を行っています。ところが、多くの現場では安全懇談会の企画や運営について、マンネリ化や参加率の低迷などの問題を抱えています。そこで、実際に現場の安全懇談会の企画や運営に作業者と共に参加し、観察調査を繰り返すことにより、懇談会実施の問題(参加者が議題を自分の問題に置き換えて考えていないことや討議内容の偏りなど)を明らかにしました。これらは、アンケートでは抽出しにくく、観察調査により明らかになりました(図1)。
これらの問題を解決するために、安全懇談会における仮想事故等の原因分析討議手法を作成しました。本手法は、豊富な目撃者証言を得るために開発された認知インタビューを応用し当該作業場面のイメージを持たせたり、最悪の結果やそこに至るシナリオを想定させたりすることで、議題を自分たちの問題に置き換えて考えさせるよう工夫しています。また、作業手順や機器上の問題などの手がかりを少しずつ呈示する「手がかりなぜなぜ分析法」、管理対策と自主対策の二方向の対策提案、対策案のふり返りなどにより多面的な討議になるよう工夫しました(図2)。また、この手法のやり方や実施上の注意点をまとめた事故分析討議マニュアルを作成しました。
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