車両の高速化および軽量化の結果、車体の上下弾性振動(特に車体1次曲げ振動)および剛体モードの固有振動が顕著に発生して上下の振動乗り心地が低下することがあります。そこで、車両の軸ダンパと空気ばねの減衰力制御によってこの振動を抑制し、車両の上下方向の振動乗り心地を大幅に改善する方法を開発しました。
軸ダンパ減衰力制御による振動低減を行うため、10Hz程度までの減衰力制御が可能で、かつ微振幅に対する減衰力特性に優れた可変減衰軸ダンパを開発しました。また、空気ばね減衰制御による振動低減を行うため、最大開度時には小さな差圧で大流量の空気を流すことが可能な、空気ばねに内蔵できる絞り制御弁を開発しました。そして、両者を用いて効果的に車体上下振動を低減できる制御方法を考案しました。
これらの開発品を新幹線電車相当の試験車両に適用し、車両試験台で実走行を模擬した加振試験を実施しました。その結果、車体の1次曲げ振動および剛体モードの振動を大幅に低減することができ、乗り心地レベル(LT )を最大5dB強改善する効果が得られました。また、車両試験台試験によって、これらの減衰力制御は蛇行動限界速度にほとんど影響を与えないことを確認しました。
今後、新幹線電車による性能確認走行試験を実施する予定です。
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